松田優作のターニングポイント「野獣死すべし」

村川透監督、松田優作主演とくればアクション映画を思い浮かべますが、『野獣死すべし』はその期待を裏切ります。 徹底的に裏切ります。

公開当時のキャッチコピー、「こんなハードボイルドがあったのか」がまさにこの映画を言い得ています。

ここには、華麗に肉体を駆使した松田優作の姿はありません。

奥歯を四本抜き、体重を削った青白い顔色の病的な男がハードボイルドの主人公とはとても思えません。

また大藪春彦の原作ともまったく異なるストーリー展開でここでも観客は裏切られるでしょう。

しかし、その裏切りは失望とは無縁です。 むしろ、まったく新しいハードボイルド映画といて、一度見たら強く印象づけられて忘れることができなくなります。

下手をすると、翌日まで尾をひきます。そのまま主人公伊達邦彦があなたに乗り移ります。 爽快感はありません。 興奮はありません。

暗い、底光りする暗い、異常にも近いクライム・ムービーがこの映画です。

本作で、松田優作はドンパチやらかすアクション俳優から、本当の演技派、個性派俳優へと一歩踏み出します。

その意味で、『野獣死すべし』は松田優作のターニングポイントにあたります。 その個性強烈です。

脇役陣も個性派をそろえており、相棒の鹿賀丈史の若いながら光る演技、ヒロイン小林麻美の清潔な美しさ、室田日出男の男くささ、その他、脇を固める俳優人もこの映画のムードに独特の味わいを添えています。

テレビ「探偵物語」の工藤ちゃんでしか松田優作を知らない新しいファン、必見です。

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